津原泰水 / 爛漫たる爛漫 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮社/文庫)
たまには書評なんぞを偉そうに。。。書いてもいいですか?S木さん?
一癖も二癖もあるイメージの津原さんですが
今作はかなりストレートな作品かつ、コンセプト。
ずばり...ロック。ただし、結構ディープなロックかつ
斜め具合はやはり津原作品っぽい...のかな。
かなり面白いです。コレ。
人気ロックバンドのフロントマンの死。
業界に蔓延る楽物(いつの時代っすかw)。
絶対音感を持つ登校拒否少女。
が上手く絡んで、しっかりとミステリーとしても
成立させています。そのミステリ部分の
真相解明はガッツリと音楽が関わっていて
ページは薄いけど、見事なバランスですね。
ロック小説って難しいんですよね。実は
あまりにも振り幅が広くて。現代が舞台ですが
完全にイメージは70年初頭の手触り。
(完全に私見ですが...村八分とか外道、紫、サンハウス、
はっぴいえんど、サディスティックス、ジャックス辺りの音楽が頭の中で鳴ってました)
あとがきに書かれている事も非常に的を得ていて
ロックと録音技術の関係はおっしゃる通り。
ロックを精神論で誇張して語ることの間違いが
サラりと書かれてます。
惜しい点は読者ターゲットを若い人に設定した
ような装丁イラストとオビのコピー。
その方向は間違ってると思うよw。きっと。30代後半~40代が読んでも絶対面白いです。