津原 泰水 / ブラバン(新潮社/文庫)
津原 泰水 / ブラバン(新潮社/文庫)
数年前に書いた備忘録の一部なんですが
なんだか、自分にとって結構いい事書いていたように思う。
少々恥ずかしいけど、コレ↓ね。
「音楽の時代だった。あらゆる音楽が今より高価で、
気高く、目映かった。」
この一文の持つ意味と真実。1ミリも間違ってない。
吹奏楽部を主題にしたロック小説なんだと思う。
そして、主人公のボクであるライくんとはきっと趣味が合う。
冒頭からE・コステロの名前が挙り、後半にはその嗜好は
XTCやSQUEEZE,CHEAP TRICK,The CARSといった引用が
される。間違いなくロック。しかもそうそう出会う事のない
正しいロック小説。
高校時代のかけがえのない時間。
そしてうだつの上がらない日々鬱屈として
キラキラしたものを殆ど無くしてきた40代になった今...。
そんな過去と現在が交互に展開される今作は
読んでいて本当に胸が苦しくなる。年を重ねる事で得る事と
失う事のバランスの悪さを哀しい事に痛感する。しかしその
事実を飲み込んで行かなければいけないんだな。
その為にも自分にとって、まだ音楽...ロックは必要なんだ。
音楽業界は腐りきって死んだ。死に続ける。
でもロックはなきゃいけない。
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昨夜,ほぼ20年振りに大事な友人にばったり逢った。
本当に街中でばったりと。
彼は自分の知ってるままの彼だった。
やはり音楽は続けているらしく、本当に嬉しく思う。
そして、日本酒の好みもどうやら近いようだ。
20年近く会っていなかった事が嘘のようにスルスルと会話が
自然に繋がる。
音楽に関わったからこその軌跡。いい夜だった。